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NPO法人 日中健康科学会


by jchs
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中医「四診」についての客観化研究及び臨床応用

講演要旨

 3月7日、東京医科歯科大学にて、東京臨床中医学研究会と中華中医薬学会主催、NPO法人日中健康科学会と在日中国科学技術者連盟医薬協会の後援で、シンポジウム「2010日中伝統医学のしんだんにおける最前線」が開催されました。
 下記の上海の王憶勤教授の発表が注目されており、中医学の特徴の維持とその近代化的な発展の是非について、会場ではホットな議論が引き起こされたのです。


 王 憶勤教授 上海中医薬大学中医診断学教室主任

 中医学診断の真髄は弁証論治である。弁証論治の基本は「望診」、「聞診」、「問診」、「切診」(「四診」)を通して疾患に関する臨床情報を収集し、さらに「四診合参」という方法を用い収集した情報を分析、帰納する。帰納によって病因、病機を推理し、さらに治療原則及び予後などの指標とする。しかし、伝統中医診断方法は医師の主観的な認識及び経験に頼らざるをえないのが現状である。中医学が発展してきた時代背景、歴史的の環境素因などから考えれば仕方がないことである。しかし、客観性、再現性が乏しいため、中医学の発展及び現代医学の融合に対し大きな支障となっている。伝統中医学理論のさらなる発展のためには、現代科学技術の方法、手段を用いて、診断方法をより客観化しなければならない。また、標準化についての研究は、中医学が近代化できるかどうかの重要な課題である。

  本研究班は中国国内多数の有名理工学系大学及び研究所と共同研究チームを組んで研究開発に挑んだ。数学、生体情報学、コンピューターサイエンス、組織プログラム学など多方面の専門的技術を応用し、我が上海中医薬大学の一万余りの各科の症例データーベースに基づき、数年間にわたりTP-T型舌診、脈診数字化分析機、ZBOX¬¬―I型舌象、脈象数字化分析機、DS-I中医四診総合分析機を開発した。最新の四診総合分析機は中医の望診(面診),舌診、聞診(声診)、問診、脈診などの情報を客観的、規範的に、また数値化して分析することを可能にした。この分析機を用いて顔の色、光沢度、舌質、舌苔、声質、脈象などのデーターを比較的に正確にグラフで規範的に描写し、相関定量化係数で表すことができた。

 本研究班は心筋梗塞の患者のカテーテール施術前後の脈象の変化、及び中西医結合で肺がん治療前後の舌象、脈象の変化を客観的係数的の変化に基づき研究した。その結果、舌象、脈象を客観的に分析することが可能となり、手術、薬物治療の効果判定にも有意義な方法であると判明した。これは中医治療効果の評価基準になる可能性がある試みと考えられる。

 舌診、脈診と生理病理状態との関連についての研究の結果で明らかになったことは以下の通りである。

 ①妊婦は妊娠の段階により脈図係数的変化がみられる。

 ②舌象係数は胃粘膜の病理変化と関係が認められた(胃カメラから見た胃粘膜の状態)
by jchs | 2010-03-10 20:47 | 交流空間